東京都港区麻布十番3-8-1 日比谷麻布十番ビル1階
この度はハンガリーを拠点に活動する陶芸家のネーマ ユリア氏(Néma Júlia)と、日本を拠点に活動する陶芸家の日置哲也氏(Hioki Tetsuya)と阿曽藍人氏(Aso Rando)の国際交流とその成果を紹介する企画展『Ways of Earth|A föld útjai』をハンガリー大使館文化部リスト・ハンガリー文化センターで開催いたします。
展覧会のいきさつ
2023年、岐阜県多治見市にある岐阜県現代陶芸美術館にて、駐日ハンガリー大使館および当館協力のもと、「ハンガリー現代陶芸展」が開催されました。現代のハンガリー陶芸の流れを総覧した同展覧会の出品作家であったネーマ・ユリア氏は、展覧会にあわせて2023年初夏に来日。岐阜県の誇る多様な陶芸文化とそれを育む風土に関するリサーチを行いました。そこで、同じ素材に関する共通する感性を持つ岐阜の陶芸家、日置哲也氏と阿曽藍人氏と出会ったことから、陶芸に欠かすことのできない土・素材を軸とした交流プロジェクトがスタートしました。
普段ネーマ氏が素材採取やインスピレーションを受ける創作活動のフィールドとしている、ハンガリーのヴェスプレーム市・バコニ山地・バラトン湖エリアは、2023年に欧州文化首都を務めました。本交流プロジェクトは、欧州文化首都の多彩なプログラムのひとつとして加わり、2023年夏には日置氏、阿曽氏がヴェスプレーム へ招待され、ネーマ氏と同様、バラトン湖周辺の類稀なる多彩で風土を巡るリサーチを行いました。
これらの二国を繋ぐ交流を通じて、両国の作家たちはそれぞれに、同じ地球上の同じ土や岩のなかにある多様性にあらためて気づき、驚き、素材の個性について考えを深めました。そして、異なる場所・文化に身を置いていても、自然への敬意を共有していることを再確認しました。
この展覧会では、三人の作家たちが両国を行き来して見つけた素材や感覚を、自らの表現として造形した陶芸作品を展示し、交流の成果を紹介します。また、岐阜とヴェスプレームを架ける交流をつぶさに記録した写真家・ツィガーニュ・アーコシュ氏の写真作品もあわせて展示し、交流の様子をお伝えします。
※本展覧会は、2024年5~8月にヴェスプレーム・ハウスオブアート、同年10~11月に岐阜県現代陶芸美術館で開催されました。東京展はその一部を紹介する巡回展となります。
展覧会タイトルについて
「Ways of Earth」とは、直訳すると「土・大地の道」。
陶芸表現において欠かすことのできない存在である土と、それらを育んだ大地と時間のイメージ、また、そうして得られた素材が作家らを引き合わせ、その交流から生まれる新たな道といったものを重層的に意味しています。
展覧会のみどころ
3名の作家が、互いの国で得た感覚や素材を基に制作した作品が見どころです。
たとえば、ネーマ・ユリア氏の「Litoszféra(岩石圏)」は、作者がハンガリーで採取した土によって成形し、日本で得られた長石を釉薬として施し、薪窯で焼成した作品。まさに日本とハンガリーが融合した作品といえます。
阿曽藍人氏の「Landscape of Stone and Mountain(石と山の景)」は、ヴェスプレームでの調査時に拾った岩の欠片と陶を組み合わせた作品。バラトン湖周辺の雄大な光景のイメージも重ねられています。
日置哲也氏の「汲む」は、ハンガリーで出会った自然とともに生きる人々の誇り高い姿が着想源となっています。見る人に人と自然とのつながり、また国や文化を超えて共有される自然への敬意を感じさせるでしょう。
『Ways of Earth展』概要
主催:岐阜県現代陶芸美術館、Művészetek Háza Veszprém(ハウスオブアート・ヴェスプレーム)
助成:EU Japan Fest 日本委員会
後援:駐日ハンガリー大使館、リスト・ハンガリー文化センター東京
期間:11月20日(水)~12月4日(水)※11月20日は12:00より開館
開館時間:11:00~17:00(※最終入館16:45)
※休館日:毎週土曜日/日曜日/日本とハンガリーの祝日
会場:リスト・ハンガリー文化センター
住所:東京都港区麻布十番3-8-1 日比谷麻布十番ビル1階
※アクセス:東京メトロ南北線・都営大江戸線「麻布十番駅」徒歩3分
電話:03-6459-4931
10月18日(金)~11月17日(日)まで岐阜県現代陶芸美術館(多治見)で開催中
https://www.cpm-gifu.jp/museum/events/event/event-9116
Néma Júlia(ネーマ・ユリア)
1973年生まれ、ハンガリー・ブダペスト在住。
2002年ハンガリー美術工芸大学(現・モホイ=ナジ芸術大学)デザイン学科セラミック専攻卒業、2012年同大大学院博士課程でDLA(芸術博士号)取得。
モホイ=ナジ芸術大学、ブダペスト・メトロポリタン大学、ペーチ大学等で教鞭をとる。2013年国際交流基金のリサーチ・フェローシップを受け、日本の薪窯焼成に関する調査を行う。そこで得られた知見もふまえてまとめられた著書『高温で-薪窯焼成の陶磁器へのアプローチ』(スコラル出版、2013年)は、ハンガリー語による薪窯に関する基礎文献となっている。国内外で作品発表を行う。
日置哲也(ひおき・てつや)
1976年岐阜県生まれ、岐阜県瑞浪市在住。2001年岐阜県立多治見工業高校専攻科卒業。
2006年より岐阜県瑞浪市にある粘土製造業のカネ利陶料に就職、2015年より同社代表に就任。粘土選びからブレンドまで、地域の陶磁器産業や個人作家を幅広くサポートする一方、作家としても活動する。
阿曽藍人(あそ・らんど)
1983年奈良県生まれ、岐阜県美濃加茂市在住。2009年金沢美術工芸大学大学院修士課程美術工芸研究科陶磁コース修了、2010年常滑市立陶芸研究所修了。
2021年「阿曽藍人 Inner Land 内なる大地へ」(みのかも文化の森、岐阜)、2023年「阿曽藍人展」(瀬戸市新世界工芸館、愛知)など個展多数。また「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」(新潟)、などグループ展でも作品を発表する。