バラージュ・ベーラ(1884–1949)は20世紀転換期のブダペストで創作されたバルトークのオペラ《青ひげ公の城》の台本や、両大戦間期のウィーンで発表された映画論『視覚的人間』で知られる、ハンガリー出身の作家、映画評論家です。このほかにも童話作家としての顔を持ち、日本では徳永康元氏による翻訳が出版されています。昨年、そのうちの一つである『ほんとうの空色』が岡本佳子先生による新訳で刊行されました。講演ではバラージュの活動、『ほんとうの空色』(1925年)の魅力や、初出当時に同時収録されていた他2篇の紹介、さらにドイツ語・ハンガリー語による複数の版についてお話することで、バラージュの童話作家としての一面に迫ります。
東京都港区麻布十番3-8-1 日比谷麻布十番ビル1階
日時:2023年3月7日(火)18:00から19:00
講師:岡本佳子先生(神戸大学大学院国際文化学研究科講師)
定員:先着25名
会場:ハンガリー大使館文化部リスト・ハンガリー文化センター
言語:日本語
年齢:18歳以上
参加費:無料
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【イベントの詳細】
【ほんとうの空色あらすじ】
青い花から生まれた絵の具が作る不思議な世界。
フェルコーは、貧しいけれど絵を描くのが得意な少年です。ある日、フェルコーは裕福な友だち、カリのために絵を描いてあげることにしました。ところが、カリから借りて家に持ち帰ったあい色の絵の具をネズミが食べてしまったのです。絵の具を返せなくてこまっていると、用務員さんがやってきて言いました。「フェルコー、なぜこの花を摘まないんだい。絵の具が作れるのに」なるほど、二人のまわりは、大きくて美しい、この上なく青い花でおおいつくされていました。用務員さんは、この花は正午から1分間だけさく「ほんとうの空色」という花だと教えてくれました。フェルコーは花をつむと、青い絵の具を作って絵を仕上げました。それは本物の空のようにすばらしい絵になりました。大喜びでその絵をカリに見せると、カリはなぜか怒りはじめます。なぜなら、きれいな青空の絵のはずが、その日の天気と同じ曇った空の絵になっていたからです。「ほんとうの空色」は、ぬるとその絵が本当の空になる絵の具だったのです! このすごい絵の具を使って、不思議なことがつぎつぎと起こるのです。

絵/荒井良二 AD/城所潤 「小学館世界 J 文学館」所収
【講師プロフィール】
岡本佳子(おかもとよしこ)先生
神戸大学大学院国際文化学研究科講師。研究テーマは作曲家バルトークや劇作家バラージュの作品をはじめとするハンガリーの舞台芸術について。単著に『神秘劇をオペラ座へ——バルトークとバラージュの共同作品としての《青ひげ公の城》』(松籟社、2019年)。翻訳に、バラージュ「ほんとうの空色」浅田次郎ほか編『小学館世界J文学館』所収(小学館、2022年)など。