『ポスト・モーテム』推薦コメント

これまで、ハンガリー映画と言われて最初に思い浮かべる作品が「ホラー映画」というジャンルである事はありませんでしたが、とうとうこの分野でも印象的なハンガリーの作品が生まれました。ハンガリー国立フィルム・インスティトゥートの支援も受けた「ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス」の舞台は第一次世界大戦後、スペイン風邪が流行しているハンガリーの農村です。 特殊な時間と場所設定ですが、農村シーンの主な撮影場所は、観光名所として知られるセンテンドレ市の野外博物館です。ハンガリー各地の農家を展示しているこの空間は、ホラー映画に相応しいミステリアスな雰囲気を描くのに最適であったように感じます。(普段は明るく広々としたスペースなので、ぜひ訪れていただきたい場所の一つです。) 映画には、ハンガリーで広く知られている人気俳優や、元バレエダンサーも出演し(アンナの叔母役)、更には、幽霊の動きをそのバレエダンサーが指導し、エゴン・シーレの絵も参考にした等、多数の工夫が凝らされた独特なホラー映画です。
(ハンガリー大使館文化部 リスト・ハンガリー文化センター)